見学会
日本機械学会関西支部 2011.6.22公開


第86期定時総会見学会参加記録

日時 2011年3月17日(木) 13:15~17:00
見学先 (株)島津製作所 本社・三条工場
参加人数 42名 (正員32名,学生員1名,一般4名,一般学生3名,幹事1名,事務局1名)
 
 (株)島津製作所は、分析計測機器、医用機器、航空機器、産業機器などのさまざまな製品を製造している精密機器メーカです。1875年(明治8年)の創業以来、「科学技術で社会に貢献する」を社是に、いつの時代も常に最先端の技術開発に挑戦されており、医療用X線装置、分光写真器、電子顕微鏡、ガスクロマトグラフ、生体磁気計測装置など、数々の日本初の製品を生み出してきた企業です。今回は、京都市中京区の本社・三条工場に伺いました。

 最初に航空機器事業部の林技術部長より会社概要および航空機器事業部製品の説明をして戴きました。“丸に十の字”の社章の由来などの話もあり、おもしろく聞かせて戴きました。その後2班に分かれて、初めに材料試験装置やX線透視装置などの分析計測機器、X線TVシステムや血管撮影システムなどの医用機器のショールームを見せて戴きました。業界関係者以外は滅多に見られない装置ばかりで興味深く見させて戴きましたし、内部構造が短時間に立体映像で細部まで表示される非破壊検査装置には驚かされました。次に航空機器工場に移動し、機械加工職場、ディスプレイ機器の組立職場、フライト・コントロール・システムの試験職場などを見学させて戴きました。超高精度な加工を可能にする各種精密NC加工機や、その加工精度を維持する検査態勢、クリーンルームでの組立、耐用時間の3倍の実機試験をする試験設備などを見せて戴き、航空機の安全性がそれらによって確保されていることが判りました。

 見学後、多和田主任よりHMD(Helmet Mounted Display)の開発と、近藤グループ長より高速度カメラの開発についてご講演戴きました。HMDとは、パイロットがどの方向を見ていてもコックピットの計器情報などを見られるヘルメットに内装された情報表示装置です。速度や高度などの飛行情報(文字情報)だけでなく、地形図や画像も重ねて見ることができます。F‐15戦闘機用に開発された同製品をヘリコプタ等の民間機用にも展開しており、JAXA殿と共同で、着陸誘導システムや接近警報システムなどと組み合わせて高度化の研究を進めています。この研究の中で、パイロットが見ている方向に機外に取り付けた暗視カメラを連動させて向け、映像を重ねて暗くて見えない地形を鮮明に表示させたり、位置情報から地形図を3次元ポリゴンマップで重ねて表示さすなどにより、夜間でも安全に飛行できる技術を開発中です。そのことにより、夜間の救助活動などが安全に行えるようになります。次に高速度カメラについては、小型・軽量・安価でありながら、超高速撮影を可能にした独自のCCDデータ蓄積技術について紹介戴きました。このカメラによって撮影された弾丸の衝突の瞬間やエンジン噴射燃料の拡散状態などの貴重な映像を見せて戴きましたが、その鮮明さと時間が止まっているかのような高速さに驚かされました。

 今回の見学により、社是である「科学技術で社会に貢献する」を実践されていると思いましたし、多くのすばらしい技術を持っている企業だなあと感嘆しました。これからも、更にすばらしい技術・製品を開発されて、世界に貢献されることと思います。

 最後になりましたが、今回の見学を快く受け入れて下さり、主になってご対応戴いた林技術部長、吉田課長をはじめとした航空機器事業部の皆様、貴重なご講演を戴いた多和田主任、近藤グループ長、見学会の受け入れ窓口と当日の案内を担当戴いた光岡様、工場見学・装置のご説明を戴いた皆様ほか、お世話になりました島津製作所の皆様に心より感謝申し上げます。
 
記 日本機械学会関西支部 企画幹事 安松 守((株)クボタ)
(当日の模様)