見学会
(社)日本機械学会関西支部

 第627回見学会(正・准・学生員合同)参加記録


開催日: 2007年11月28日(水) 13:30~17:00
見学先: サントリー株式会社 京都ビール工場
参加者: 38名(学生13名、事務局2名を含む)

 歴史ある京都長岡京の地に建つサントリー京都ビール工場は、天王山・京都西山水系の天然水で仕込んだビール・発泡酒が製造されていますが、水資源の保全や省エネルギーなどの「地球環境においしい」活動も積極的に展開されているとのことで、正・准・学生員合同で見学をさせて頂きました。

 工場玄関口付近のモニュメントの前で、記念撮影をした後、2班に別れて見学が始まりました。ビール製造工程のはじめとなる仕込みタンクがある部屋にはいると、ビール特有の香ばしい麦芽とホップの匂いに迎えられて、大きな歓声が上がりました。工程はその後、発酵、熟成へと進み、熟成を終えたビール中の酵母を除去するミクロフィルタに参加者の関心が集まり、材質や構造・流れ方など機械技術者らしい質問が多く出されました。最後の自動缶・瓶詰め機も壮観で目にも止まらぬ速さで缶や瓶が流れていく様は圧巻でした。ビールにとって酸素は味を劣化させるので大敵ですが、瓶・缶にビールを詰めたり蓋をするときにCO2を吹き込んで酸素に触れないように配慮しているとのことでした。この辺は皆さん、なるほどと感心しきりでした。ビール製造工程見学の後、コジェネレーション設備も見学させて頂きました。燃料は都市ガスで廃液処理から出た消化ガスも有効利用して、ガスタービン1機、ガスエンジン1機、計2機で工場電力の大部分の負荷をまかなっているそうです。電力以外にも蒸気や温水の形で熱利用し、総合効率を高めておられました。この設備がシステムダウンしたらどうなるのかとの質問に、小型貫流ボイラや関西電力からの緊急時電力供給で対応できるようにしているとのことでした。大きな設備ではシステムダウン時の迅速対応は、非常に重要なことだと感じました。その後、見学できなかった箇所に関するプレゼンがあり、省エネ・地球温暖化防止、ごみ削減、環境情報発信など5つの取組みについて説明頂きました。特に地域交流に関しては、工場周辺美化・西山涵養活動として山の木の整備なども行われるとのことで、総合的に環境と地域貢献に取り組んでおられると感じました。質疑応答のあと、工場できたてのプレミアムモルツを試飲させて頂き、参加者一同満足して帰路に着きました。

 今回見学させて頂いたビール工場は、仕込み・発酵・熟成など多くの工程があり、それぞれが大きなタンクや無数の配管で結ばれて、温度・衛生管理が厳密にされている大プラントでした。テレビなどで見る酒造工場の大きな樽で発酵といったイメージとは異なり、自動化されて衛生的な近代的工場なのには驚かされました。

 最後になりましたが、大変お忙しい中、今回の見学会を快くお引き受け頂きましたサントリー京都ビール工場の高田様、尾迫様、そして案内などお世話になった皆様に心から感謝申し上げます。

   日本機械学会関西支部 企画幹事
   桂木潔(ヤンマー㈱)